Monday, January 26, 2015

教会で神道の話をする

  メンフィス市内のキリスト教会で他宗教を勉強するグループがあり、そこで神道の話をした。このグループは毎週勉強会を開き、テーマに決めた宗教に帰依するスピーカーを呼んで話を聴くという活動を行っている。リストを見ると、ゾロアスター、道教など、相当広い範囲の世界の宗教を勉強しているようである。一月は神道がテーマで、たまたま私がメンバーの一人と知り合いだったので話をすることになった。今回の参加者は6名で、大人4名、高校生2名、男2、女4名(全員白人)であった。

 さて神道というのは普通の宗教ではない。定義にもよるが、宗教を規定する三大要素(教祖、教典、戒律)からみると、神道はこれらのいずれも欠いている。もう一つの大きな要素は、神道は人の死、および死後の世界には関わっていないということであろう。ふつ世界の宗教は、葬儀の実際や没後の故人にかかわる行事に関与していると思われる。日本ではこの部分は仏教が担い、神道はもっぱら生活の明るい部分に関わっている。こうしたことを念頭に、宗教としてはやや特殊な神道そのもの、および人々の神道への関わり方をパワーポイントにまとめて解説した。以下、その概略である。

1.神社の風景1(厳島神社、伊勢神宮、他)
2.神社の風景2(身近にある小さな神社)
3.神棚
4.神社とは何か(Wikipedia)からの引用
5.神道とは何か(Youtubeで見つけた英語の解説ビデオ)
6.神社を運営する人々
7.参拝の方法(Youtubeで見つけた英語の解説ビデオ)
8.絵馬(合格祈願他)
9.初詣
10.お宮参り
11.七五三
12.結婚
13.祭り
14.奉納(物品、土俵入り、算額)
15.お祓い(人、土地、自動車、地鎮祭)
16.日本神話の概説
17.神話の神々と天皇の系譜
18.日本人の宗教 意識

 当然すべてのやりとりは英語で行われたが、私自身仕事以外のトークを英語で行ったのは初めての経験であった。その点説明の難しい神道の概説についてのYoutubeビデオは助けになった。

 覚えている質問は以下の通りである。
1.複数の神社が同じ神を祀っていることはあるのか?(個々の神社はそれぞれ異なる神を祀っているという説明を受けて)
2.神主には女性もなれるのか?
3.巫女は若い女性しかなれないのか? あるいは女性は巫女の職を生涯続けることができるのか?
4.神社に奉納された(例えば酒樽など)供物は神社の内部の人々に消費されるのか?

 これらの質問は一見表面的に見えるが、なかなか日本社会の深層をえぐり出すような要素を含んでいる。例えば質問4については、神社への供物はその地域の人々へ還元されるわけである。神社が(特に農村の)コミュニティの核として機能しているということが認識される。

 わずか一時間のトークだったので、無論これだけで神道への理解を深めてもらえたとは思えないが、多少の助けにはなったと思う。最後のスライドで、もっと知りたい方は日本に旅行して下さいとお願いしておいた。実際、神社がらみの風景はじつに美しく、そう思ってくれた人もいたかもしれない。