Wednesday, June 3, 2015

FDAによる動物用抗菌薬の規制の動き

以前書いたように(5/9/15)、抗菌物質の使用量はヒトに対するよりも家畜・家禽用の方が断然多い。このことが環境中の薬剤耐性菌の蔓延を促していると問題視されてきた。動物に対する 抗菌物質の使用を何とか規制するべく、米国食品医薬品局(FDA)が乗り出すというニュースがウール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に出た(6/2/15)。

CDCによれば、米国で多剤耐性菌のために死亡する人は年間約23,000人という。オバマ政権はいわゆるsuperbugs(スーパー細菌=多剤耐性菌)に対処するために、家畜・家禽に対する抗菌物質使用に関する一連の指針を出した。この指針は2,016年の12月から施行される。

中身を要約すると、人と動物に共通に使用される抗菌物質の使用については獣医師の処方が必要になることが主要な点である。農家、酪農家は抗菌物質の使用に際しては獣医師の処方を得なければならない。また抗菌薬の使用は疾病の治療と予防のみに許容され、動物の肥育促進のための使用は禁止される。

この指針を徹底させるために、オバマ大統領は政府機関の食堂では “according to responsible antibiotic-use policies” (“責任ある抗生物質の使用方針に従っている”業者から食肉を購入させるようにする指示を出した。大手食肉メーカーや外食産業の中には(例えば Panera Bread社)、不適切な抗生物質を用いて生産された食材の割合を大幅に下げることを表明した会社もある。

現在、動物に使われている抗菌物質のうち約300種類が人の健康に対して影響を与えていると考えられる。FDAは抗菌物質の動物への使用状況の報告義務に関するルールの素案を先月提案している。こうした施策により、動物に対する抗菌物質使用の状況がより詳しく把握できるとしている。


 


 

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