Sunday, July 12, 2015

米国における農業分野でのバイオテク製品の認可プロセスの見直し




ホワイトハウスは農業分野のバイオテク製品の認可に関して、関連する3つの政府機関、食品医薬品局(FDA)、農務省(USDA)、環境保護庁(EPA)のどこが審査に責を負うかを明確化すること、および CRISPR等の新しいgene-editing法の普及に伴って、審査の簡略化を試みる方針を打ち出した [White House]。多くの研究者はこの方針について遅きに失したとはいえ歓迎している [Servick, 2,015]

連邦政府のバイオテク製品の認可のプロセスは1,986年に制定され、1,992年に改定された。この改定はFlavr Savrトマトが市場に出る2年前であった。既にこの改定から20年を経て制度の不都合が生じている。最近開発されたホタルの遺伝子を導入した植物はどの機関も審査していない状態にある。その理由の一つは、これらが agrobacterium の遺伝子導入法を用いていないからである。この導入方法は当初規則に記載されていた標準的遺伝子導入法であり、それ以外の手法で作出された製品は対象外だったのだ。

ホワイトハウスは3機関が協議する場を設け、どの機関が新たに申請された件について責を負うかを検討する。さらに年以内に規定を改定し、科学的根拠に基づいた評価を実行できるようにすることを目指す。ここで念頭に置いているのは、CRISPRTALENなどの信頼性の高い手法によって作成された製品の評価である。その高い信頼性に鑑みて、より簡略化された審査を行えるようにすることを目指す。のみならず画期的な新技術は常に出現してくる可能性がある。このような新手法を用いて作出された製品が申請される前にあらかじめ対応を検討しておくことも念頭に置いている。

(感想)

この記事ではCRSPR等を信頼性の高い手法であると考えている。しかし、CRSPRが標的とした遺伝子以外を傷つけることが報告されていて、必ずしも従来法と比べて安全性が著しく高いとは言い切れない。
しかし新技術の応用への対策を先取りしようとする態度は評価できる。

(追記)
カルタヘナ議定書は2,004年に発行したが、米国はこれに加盟していない。したがって、これに対応した国内法の整備が未だなされていない。このことが規制の改定が遅れた一つの理由であると思われる。



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